3.1項:序文
ヒューゴー賞の決定は、本条に従わなければならない。
3.2項:一般
3.2.1:他に規定されない限り、ヒューゴー賞は、前の暦年の間に、SFあるいはファンタジーの分野で初めて発表された作品に与えられる。
3.2.2:初めに英語以外の言語で発表された作品は、最初に英訳が発行された年に適格を有する。各作品は、一旦それが英語で発表された場合、適格を有するのは一度のみとなる。
3.2.3:出版物の日付、あるいは日付のある定期刊行物のカバー日付は、著作権がある日付に優先する。
3.2.4:シリーズとして構成された作品は個々に作品としての適格を持つが、シリーズ全体としては適格を持たない。しかしながら、複数のパートからなる作品は最終パート発行の年に適格を持つことができる。
3.2.5:小説[written fiction]カテゴリーにおいて、作者は作品の特定のバージョンを、そのバージョンが作者の作品を代表したものではないと感じた場合、選考から取り下げることができる。
3.2.6:ワールドコン実行委員会は、必要と思われる場合は、任意の小説を、その小説の長さが新たなカテゴリーの制限に5000語[word]、あるいは20%の範囲内で満たない場合を条件として、より適切なカテゴリーに変更することができる。
3.2.7:ワールドコン実行委員会は賞に関するすべての事項に関して責任を持たなければならない。
3.3項:カテゴリー
3.3.1:最優秀長編[Best Novel]。4万語以上のSFまたはファンタジー小説。
3.3.2:最優秀中長編[Best Novella:ノヴェラ]。1万7500語以上〜4万語以下のSFまたはファンタジー小説。
3.3.3:最優秀中編[Best Novelette:ノヴェレット]。7500語以上〜1万7500語以下のSFまたはファンタジー小説。
3.3.4:最優秀短編[Best Short Story]。7500語未満のSFまたはファンタジー小説。
3.3.5:最優秀関連図書[Best Related Book]。前暦年に初めて発表されたSF、ファンタジー、ファンダムに関連した作品。これはノンフィクション作品もしくはフィクション作品であっても、ノンフィクション的な側面を評価すべきである。
3.3.6:最優秀劇化上演[Best Dramatic Presentation]。前暦年に初めて現在の形式で公開された、メディアを問わず劇化されたSF、ファンタジーまたは関連する題材。
3.3.7:最優秀編集者[Best Professional Editor]。前暦年に主にSFまたはファンタジーに専念している職業出版の編集者。職業出版は平均一万部以上の出版を行っていることとする。
3.3.8:最優秀プロアーティスト[Best Professional Artist]。前暦年にSFまたはファンタジー分野の職業出版に作品を発表したイラストレーター。
3.3.9:最優秀セミプロジン[Best Semiprozine]。前暦年終了時までに4回以上の発行を行ない、前暦年に少なくとも1回発行された、一般でも入手可能な主にSFまたはファンタジーに専念している非職業出版であって、以下の条件を少なくとも2つ満たす物:
(1)一回の発行部数が少なくとも平均1000冊以上である。
(2)投稿者やスタッフに現物の雑誌以外の報酬を払っている。
(3)特定の個人の収入の少なくとも半分を提供している。
(4)少なくとも全体の15%が商業宣伝に使用されている。
(5)自らセミプロジンと公称している。
3.3.10:最優秀ファンジン[Best Fanzine]。前暦年終了時までに4回以上の発行を行ない、前暦年に少なくとも1回発行された、一般でも入手可能な主にSFまたはファンタジーに専念している非職業出版であって、セミプロジンに当てはまらない物。
3.3.11:最優秀ファンライター[Best Fan Writer]。前暦年に、ファンジン、セミプロジン、または一般でも入手可能な電子メディアに作品を発表した人物。
3.3.12:最優秀ファンアーティスト[Best Fan Artist]。前暦年にセミプロジン、ファンジン、またその他の公衆用展示で作品を公開したアーティストもしくは漫画家。その年のヒューゴー賞の最終の投票用紙のプロアーティスト部門に名前がある人物は、その年のファンアーティスト部門には適格ではない。
3.3.13:追加の部門。現在のワールドコン実行委員会は、常設の部門と同じノミネートと投票のある、最大一つの特別な部門を作ることが出来る。ワールドコン実行委員会はこの部門を作らねばならない訳ではなく、ワールドコン実行委員会によるこの行動は例外的な状況のみで行うべきであり、あるワールドコン実行委員会によって作成された特別部門は次回以降の委員会を拘束してはならない。本節に則って作られた賞は、ヒューゴー賞とみなされねばならない。
3.4項:適格の延長
ヒューゴー賞のノミネートの可能性を有する候補が、初めて公表または公開された年に極めて限られた流通しか受けられなかった場合、WSFSのビジネスミーティングの調停において、四分の三の票が得られれば、適格期間を一年延長することが出来る。
3.5項:名前とデザイン
ヒューゴー賞のトロフィーは、ジャック・マクナイトとベン・ジェイスンによるロケットシップを標準デザインとする。各ワールドコン実行委員会は基礎のデザインを、独自に行なうことが出来る。名前(ヒューゴー賞)とトロフィーのデザインを、他の賞で用いてはならない。
3.6項:受賞者無し["No Award"]
特定の部門のノミネート数や最終得票数が著しく不足し、投票者の関心が低いと、各ワールドコン実行委員会が判断した場合、その年のヒューゴー賞のその部門を中止にする事が出来る。
3.7項:ノミネート
3.7.1:ワールドコン実行委員会は、最終投票用のノミネート作品を選出するために投票調査を行なわなければならない。運営または直前に開催されたワールドコンのいずれかのメンバーは、開催暦年の1月31日の時点で、各部門で5候補までを優劣をつけずにノミネートすることが出来る。
3.7.2:委員会は、ノミネートを選出する為の投票用紙にWSFS規約の第3条の条文を明記しなけれならない。
3.7.3:ノミネートは、ヒューゴー賞と最優秀新人賞であるジョン・W・キャンベル賞[John W. Campbell Award]のみを募集しなくてはならない。
3.8項:ノミネートの計算
3.8.1:以下に言及されるものを除いて、賞の最終投票用紙はそれぞれの部門の最もノミネートを集めた5候補のリストを載せなければならない。もし同着の5位が存在する場合には、同着の候補全てをリストに載せねばならない。
3.8.2:ワールドコン実行委員会は、候補の適格性の判断と、一つの候補が複数の異なる部門にノミネートされている場合には適切な部門の判断をしなくてはならない。
3.8.3:「受賞者無し」というノミネートがあった場合は、これを無視しなくてはならない。
3.8.4:同一の候補が一つのノミネート用紙の一つの部門に複数回に記載されている場合、その部門への一つだけのノミネートとして集計しなくてはならない。
3.8.5:もしそのカテゴリーの全ノミネート数の5%に満たないものがあった場合、これを賞の最終投票用紙に記載してはならないが、同着を含む、上位の3候補者は必ずリストに載せねばならない。
3.9項:通知と受諾
ワールドコン実行委員会は、候補に、死亡している場合や正常な判断や認識が出来ない場合には相続人、指名されたもしくは法的後見人に対して、各部門の情報を公開する前に最善の努力をもってこれを通知しなくてはならない。その時、それぞれの候補に対し、ノミネートを受諾するか、辞退するかを尋ねなければならない。もし、候補が辞退した場合には、最終投票用紙に候補の記載をしてはならない。
3.10項:投票
3.10.1:賞の最終投票は郵送で、WSFSのメンバーのみに送られた用紙で行われなければならない。賞の最終投票用紙には、名前、署名、住所、及びメンバー番号を投票者が書き込むための欄が無くてはならない。
3.10.2:賞の最終投票用紙には、ヒューゴー賞と最優秀新人賞であるジョン・W・キャンベル賞に関するリストのみを記載するものとする。
3.10.3:ヒューゴー賞の最終投票用紙の各部門のリストには「受賞者無し」を記載しなくてはならない。
3.10.4:実行委員会は、最終投票の用紙上もしくは同封する事で、フィクション部門にノミネートされた各作品が発表された一冊以上の書籍、アンソロジー、雑誌を明示(出版社名、雑誌の発行日も含む)しなければならない。
3.10.5:投票者は、各部門の候補に対して優先順位を明示しなければならない。
3.11項:開票
3.11.1:投票者の最上位の選択が各部門毎に集計されねばならない。もし過半数を取るものがなかった場合は、最初の集計で最終位になったものを除外しその候補を最上位の選択としている票の2番目の選択を用いて再配分しなければならない。このやり方を過半数を取るものがでるまで繰り返さねばならない。
3.11.2:特定の部門の有効投票数(「受賞者無し」を最上位の選択としたものは除く)が賞の最終投票受理数の25%未満であった場合には、「受賞者無し」としなければならない。
3.11.3:仮の受賞者が決定したら、「受賞者無し」が受賞者でない限り、以下の追加テストを行わねばならない。もし、仮の受賞者よりも「受賞者無し」を優先とした票の数が、「受賞者無し」よりも仮の受賞者を優先とした票の数を上回る場合は、「受賞者無し」が選択の勝者と宣言されねばならない。
3.11.4:ワールドコン実行委員会は、完全な投票の集計結果を、一位、二位、...位のためのすべての予備集計を含めて、ワールドコン終了後90日以内に公表しなくてはならない。同期間内にノミネートの投票の集計を、各部門毎の少なくとも15位までの得票者とその部門の少なくとも5%以上のノミネート票を獲得したそれ以外の候補者を含めて公表しなくてはならない。
3.12項:除外
現ワールドコン実行委員会メンバー及びその関係者の出版物は、受賞対象から除外しなくてはならない。但し、委員会が本条に基づく権限を小委員会[Subcommittee]に委託し、その決定をワールドコン実行委員会が覆すことができない場合は、この除外は委託された小委員会のメンバーにのみ適用するものとする。
3.13項:レトロヒューゴー賞
ヒューゴー賞が選出されなかったワールドコンの、50年、75年又は100年後に開催されるワールドコンは、以前のワールドコンのヒューゴー賞をノミネートし、選出してもよい。選出の手順は現在のヒューゴー賞の選出方法によること。充分な数のノミネートがない分野においては、選出しなくてもよい。一度レトロヒューゴー賞が与えられたワールドコンについては、以後そのワールドコンのレトロヒューゴー賞を他のワールドコンが選出することは出来ないものとする。
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